監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

釣藤散の基本情報

構成生薬

ツムラマツウラ
セッコウ5g3g
チョウトウコウ3g3g
チンピ3g3g
バクモンドウ3g3g
ハンゲ3g3g
ブクリョウ3g3g
キクカ2g3g
ニンジン2g3g
ボウフウ2g3g
カンゾウ1g1g
ショウキョウ1g1g

効能効果

ツムラ、マツウラ:
慢性に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの

効能解説:
慢性頭痛、高血圧にともなう頭痛に用いられ、特に朝方に起こる頭痛・頭重感によいとされています。
慢性的なめまい、肩こり、耳鳴りなど神経症などの症状も改善します。
主薬の釣藤鈎は鎮痙、鎮静、血圧降下の効果があり、脳動脈の硬化血管性認知症の精神症状の改善に有効という報告もあります。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

甘草含有:偽アルドステロン症、ミオパチー,横紋筋融解症

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは釣藤散の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.患者さんの顔色はどちらかというと「赤い」ですか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・顔色は赤くはない

    証は合っている可能性はあります。用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加または変更できる漢方薬はないか検討してみてください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・顔色は赤いほう

    証が合っていない可能性があります。
    もう少し熱をさばく漢方薬が適しているかもしれません。
    もう一度証を再考して証に適した漢方薬の提案を検討してみてください。


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 抑肝散加陳皮半夏
    • 柴胡加竜骨牡蛎湯
    • 七物降下湯
    • 川芎茶調散
    • 大柴胡湯

    副作用チェックと薬学的判断


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症の発現を検証してください。

      偽アルドステロン症に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症にともなうミオパチーの発現を検証してください。

      ミオパチー発現に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整

      コンプライアンスチェックと薬学的判断

        コンプライアンスについてチェックを入れてください。

        Q.コンプライアンスはどうですか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス良好
        ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

        患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

        Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・服用量が多すぎる

        他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
        漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・剤型が問題

        顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・味に問題

        味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
        例)味噌汁等に混ぜる
        味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。