監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

桂枝加芍薬大黄湯の基本情報

構成生薬

ツムラ
シャクヤク6g
ケイヒ4g
タイソウ4g
カンゾウ2g
ダイオウ2g
ショウキョウ1g

効能効果

ツムラ
比較的体力のない人で、腹部膨満し、腸内の停滞感あるいは腹痛などを伴なうものの次の諸症:
(1)急性腸炎、大腸カタル
(2)常習便秘、宿便、しぶり腹

効能解説:
腹痛や腹部が張った感じがする方の便秘、腹痛、しぶり腹などに用いられます。 老人や腹力がない方など、便を押し出す力がなく便秘になっている状態を改善します。
お腹が引きつって痛み、便秘傾向にある症状などにも効果的です。
また、ストレスなどによって起こる過敏性腸症候群の便秘にも用いられます。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

甘草含有:偽アルドステロン症、ミオパチー,横紋筋融解症
下痢、胃部不快感、食欲不振
発赤、かゆみ

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは桂枝加芍薬大黄湯の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.お腹の張り、痛みはありますか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・お腹の張り、痛みはない

    証が合っていない可能性があります。
    もう少し便を動かす働きのある漢方薬を検討してみてください。
    例)麻子仁丸、大黄甘草湯 等

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・お腹の張り、痛みあり

    証はあっている可能性はあります。
    増量できるか検討してみてください。
    また、追加できる薬剤があるか検討してみてください。


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 麻子仁丸
    • 小建中湯
    • 桂枝加芍薬湯
    • 大建中湯
    • 潤腸湯 

    副作用チェックと薬学的判断


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症の発現を検証してください。

      偽アルドステロン症に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症にともなうミオパチーの発現を検証してください。

      ミオパチー発現に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


        副作用についての薬学的判断

        大黄の影響を検証してください。
        大黄の効果が強く現れている可能性があります。

        大黄過効果への対応
        ・まずは減量にて対応
        ・大黄を含まない漢方薬への変更をDrに提案

        コンプライアンスチェックと薬学的判断

          コンプライアンスについてチェックを入れてください。

          Q.コンプライアンスはどうですか?


          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス良好
          ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

          患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

          Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス不良
          ・服用量が多すぎる

          他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
          漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス不良
          ・剤型が問題

          顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス不良
          ・味に問題

          味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
          例)味噌汁等に混ぜる
          味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。