監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

抑肝散の基本情報

構成生薬

ツムラオースギ
トウキ3g3g
チョウトウコウ3g3g
センキュウ3g3g
ジュツソウジュツ4gビャクジュツ4g
ブクリョウ4g4g
サイコ2g2g
カンゾウ1.5g1.5g

効能効果

ツムラオースギ
虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:
神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症

効能解説:
西洋薬で考えると、メジャートランキライザーのような働きの側面とマイナートランキライザーのような働きの側面の両方の側面があります。
ターゲットとしているのは「」であり、漢方でいう「肝」は怒りやイライラに関係しています。また、「肝」は自律神経調節の働きに関係しています。
「肝」の高ぶりによる交感神経の興奮によっておこる子どもの夜泣き、疳(かん)の虫、大人の神経症状に対応します。
抑肝散は「肝」の興奮状態を抑えると同時に脳の過熱した状態も鎮めていきます。
最近は、認知症患者のBPSD((興奮、怒り、徘徊、不眠)改善によく使用されています。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

甘草含有:偽アルドステロン症、ミオパチー,横紋筋融解症
間質性肺炎
柴胡含有:肝機能障害,黄疸

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは抑肝散の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.患者さんの症状はどうですか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・興奮症状が強い

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加または変更できる漢方薬はないか検討してみてください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・うつ症状気味である

    証が合っていない可能性があります。
    証に適した漢方薬の提案を検討してみてください。


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 抑肝散加陳皮半夏
    • 柴胡加竜骨牡蛎湯
    • 加味逍遥散

    副作用チェックと薬学的判断

      副作用について発現の疑いがあるものにチェックを入れてください。


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症の発現を検証してください。

      偽アルドステロン症に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症にともなうミオパチーの発現を検証してください。

      ミオパチー発現に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


      副作用についての薬学的判断

      間質性肺炎の発現を検証してください。

      間質性肺炎に対する対応
      ・疑わしい漢方薬の服用中止
      ・重症例ではパルス療法を含めたステロイド剤投与などが行われるので早急にDrへの報告が大事


      副作用についての薬学的判断

      肝機能障害の発現を検証してください。。

      肝機能障害発現に対する対応
      ・疑わしい漢方薬の服用中止
      ・肝機能改善薬の投与
      例)ウルソ、グリチロン、ステロイド等


      コンプライアンスチェックと薬学的判断

        コンプライアンスについてチェックを入れてください。

        Q.コンプライアンスはどうですか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス良好
        ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

        患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

        Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・服用量が多すぎる

        他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
        漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・剤型が問題

        顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・味に問題

        味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
        例)味噌汁等に混ぜる
        味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。