監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

真武湯の基本情報

構成生薬

ツムラコタロー他
ブクリョウ4g5g
シャクヤク3g3g
ジュツソウジュツ3gビャクジュツ3g
ショウキョウ1.5g0.8~1g
ブシ0.5g1g

効能効果

ツムラ、:
新陳代謝の沈衰しているものの次の諸症:
胃腸疾患、胃腸虚弱症、慢性腸炎、消化不良、胃アトニー症、胃下垂症、ネフローゼ、腹膜炎、脳溢血、脊髄疾患による運動ならびに知覚麻痺、神経衰弱、高血圧症、心臓弁膜症、心不全で心悸亢進、半身不随、リウマチ、老人性そう痒症

コタロー:
冷え、けん怠感が強く、めまいや動悸があって尿量減少し、下痢しやすいもの。
慢性下痢、胃下垂症、低血圧症、高血圧症、慢性腎炎、カゼ

三和:
新陳代謝機能の衰退により、四肢や腰部が冷え、疲労倦怠感が著しく、尿量減少して、下痢し易く動悸やめまいを伴うものの次の諸症:
胃腸虚弱症、慢性胃腸カタル、慢性腎炎

JPS:
新陳代謝が沈衰しているものの次の諸症
諸種の熱病、内臓下垂症、胃腸弛緩症、慢性腸炎、慢性腎炎、じんましん、湿疹、脳出血、脊髄疾患による運動および知覚麻痺

効能解説:
各社、それぞれに適応症が異なっています。
まず、適応となる状態の人は「新陳代謝機能の低下=体力が低下」していることを目標としてください。
最も使われる症状は下痢です。真武湯の下痢は冷えから来る下痢です。あまり腹痛を伴わず水様性であることが特徴です。
また、水をさばきますので水が原因で起こっているめまいや腎炎などにも使います。
ブシが入っていますので、体を温め働きを上げていきます。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

附子:動悸、のぼせ、舌のしびれ

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?



    [group group-judg1]

    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    [/group]

    [group group-judg2]
    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?



    [group group-judg2-1]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは真武湯の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    [/group]

    [group group-judg2-2]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。

    [/group]

    [group group-judg2-3]

    Q.患者さんの状態はどうですか?

    [group group-judg2-3-1]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・冷えた感じがする

    証は合っているかもしれません。
    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加または変更できる漢方薬はないか検討してみてください。

    [/group]
    [group group-judg2-3-2]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・熱をもった感じである

    証が合っていない可能性があります。
    証に適した漢方薬の提案を検討してみてください。

    [/group]

    [/group]

    [/group]


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 人参湯
    • 小建中湯
    • 八味地黄丸
    • 苓桂朮甘湯

    副作用チェックと薬学的判断



      [group group-case3]

      副作用についての薬学的判断

      附子中毒の発現を検証してください。

      附子中毒に対する対応
      ・疑わしい漢方薬の服用中止
      ・重症時には応急処置としてアトロピン注射や塩酸プロカインが有効
      漢方的処置としては黒豆を煮出した汁を飲むとよいとされています。

      [/group]

      コンプライアンスチェックと薬学的判断

        コンプライアンスについてチェックを入れてください。

        Q.コンプライアンスはどうですか?



        [group group-judg1]

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス良好
        ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

        患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

        [/group]

        [group group-judg2]

        Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?



        [group group-judg2-1]

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・服用量が多すぎる

        他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
        漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

        [/group]

        [group group-judg2-2]

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・剤型が問題

        顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

        [/group]

        [group group-judg2-3]

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・味に問題

        味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
        例)味噌汁等に混ぜる
        味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。

        [/group]

        [/group]