監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

五苓散の基本情報

構成生薬

タクシャジュツチョレイブクリョウケイヒ
ツムラ4g蒼3g3g3g1.5g
クラシエ5g白3g3g3g2g
コタロー6g白4.5g4.5g4.5g2.5g
東洋5g白3g3g3gケイシ2g
テイコク5g白3g3g3g2g
マツウラ5g白3g3g3g2g
三和6g白4.5g4.5g4.5g3g
本草(原末)0.8g蒼0.6g0.6g0.6g0.4g
JPS6g蒼4.5g4.5g4.5g3g

効能効果

ツムラ:
口渇、尿量減少するものの次の諸症:
浮腫、ネフローゼ、二日酔、急性胃腸カタル、下痢、悪心、嘔吐、めまい、胃内停水、頭痛、尿毒症、暑気あたり、糖尿病

クラシエ:
のどが渇いて、尿量が少なく、はき気、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:
水瀉性下痢、急性胃腸炎 (しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ

効能解説:
証:口の渇き尿量の減少がある人
水分代謝が悪く水が偏在して起こっている症状を改善します。
水の偏在が原因で起こる症状としてはむくみ、頭痛、めまい、下痢などです。浮腫の代表処方ですが、最近は急性胃腸炎とくに子供さんの嘔吐下痢症、熱中症などに用いられます。その他、のむくみ、硬膜外血種にも応用されています。
日常では二日酔いなどにも用いられます。

目標とする証

のどが渇いて、尿量が少ない

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

胃部不快感
湿疹
肝機能障害,黄疸

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは五苓散の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.のどの渇き、小便の出の悪さはありますか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・のどの渇き小便の出の悪さなし

    五苓散の証ではない可能性があります。
    今一度、証と症状の根本原因を検討して代替漢方を提案してみてください。
    例)熱をもっていないか、冷えていないか等

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・のどの渇き、小便の出の悪さあり

    増量できるか検討してみてください。
    水が溜まっている場所と寒熱を確認し別の水をさばく漢方薬を検討してみてください。


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 猪苓湯
    • 八味地黄丸
    • 小半夏加茯苓湯
    • 苓桂朮甘湯 
    • 半夏瀉心湯 
    • 五淋散

    副作用チェックと薬学的判断


      副作用についての薬学的判断

      肝機能障害の発現を検証してください。。

      肝機能障害発現に対する対応
      ・疑わしい漢方薬の服用中止
      ・肝機能改善薬の投与
      例)ウルソ、グリチロン、ステロイド等

      コンプライアンスチェックと薬学的判断

        コンプライアンスについてチェックを入れてください。

        Q.コンプライアンスはどうですか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス良好
        ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

        患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

        Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・服用量が多すぎる

        他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
        漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・剤型が問題

        顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・味に問題

        味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
        例)味噌汁等に混ぜる
        味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。