監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

芍薬甘草湯の基本情報

構成生薬

ツムラ、他コタロー
シャクヤク6g5g
カンゾウ6g5g

効能効果

ツムラ、その他:
急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛

効能解説:
西洋薬で考えると筋弛緩剤鎮痙剤のような働きです。
横紋筋、平滑筋の異常な緊張やけいれん、それに伴う急激な痛みを緩和します。芍薬甘草湯は2つの生薬から構成されており、効き目がシャープである反面、甘草を6g(1日量)含むことから偽アルドステロン症の発現には注意をしなくてはいけんせん。とくにこむら返りの特効薬ということで乱用されているところがありますので注意が必要です。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

甘草含有:偽アルドステロン症、ミオパチー,横紋筋融解症
間質性肺炎
肝機能障害,黄疸

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?



    [group group-judg1]

    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用法・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    [/group]

    [group group-judg2]
    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?



    [group group-judg2-1]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは芍薬甘草湯の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証と症状の原因に合った薬剤の提案を行ってください。

    [/group]

    [group group-judg2-2]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法、服用のタイミングのチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。

    [/group]

    [group group-judg2-3]

    Q.症状は急性ですか?慢性的ですか?

    [group group-judg2-3-1]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・急性症状

    服用のタイミング、症状の原因を再考してみてください。
    【タイミング】芍薬甘草湯は比較的早く効果が発現しますので痛みの発現に合わせて服用しているか確認してみてください。
    【原因】筋肉の痙攣の原因が冷えであったり、ミネラルバランスの乱れだったりしていないか検討し、原因にあった漢方薬を検討してみてください。

    [/group]
    [group group-judg2-3-2]

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・慢性症状

    症状の原因を見直してみてください。
    水分、血流、気力で不足して症状になっているものがないか確認してみてください。
    不足しているものを補う漢方薬を選んでみてください。

    [/group]

    [/group]

    [/group]


    芍薬甘草湯の代替・追加 処方案
    • 小建中湯
    • 桂枝加芍薬湯
    • 大建中湯
    • 大柴胡湯
    • 桂枝加朮附湯
    • 安中散

    副作用チェックと薬学的判断

    副作用について発現の疑いがあるものにチェックを入れてください。



      [group group-case1]

      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症の発現を検証してください。

      偽アルドステロン症に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整

      [/group]



      [group group-case2]

      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症にともなうミオパチーの発現を検証してください。

      ミオパチー発現に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整

      [/group]



        [group group-case3]

        副作用についての薬学的判断

        間質性肺炎の発現を検証してください。

        間質性肺炎に対する対応
        ・疑わしい漢方薬の服用中止
        ・重症例ではパルス療法を含めたステロイド剤投与などが行われるので早急にDrへの報告が大事

        [/group]



          [group group-case4]

          副作用についての薬学的判断

          肝機能障害の発現を検証してください。。

          肝機能障害発現に対する対応
          ・疑わしい漢方薬の服用中止
          ・肝機能改善薬の投与
          例)ウルソ、グリチロン、ステロイド等

          [/group]

          コンプライアンスチェックと薬学的判断

            コンプライアンスについてチェックを入れてください。

            Q.コンプライアンスはどうですか?



            [group group-judg1]

            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス良好
            ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

            患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

            [/group]

            [group group-judg2]

            Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?



            [group group-judg2-1]

            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス不良
            ・服用量が多すぎる

            他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
            漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

            [/group]

            [group group-judg2-2]

            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス不良
            ・剤型が問題

            顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

            [/group]

            [group group-judg2-3]

            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス不良
            ・味に問題

            味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
            例)味噌汁等に混ぜる
            味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。

            [/group]

            [/group]