監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

大建中湯の基本情報

構成生薬

ツムラコタロー
カンキョウ5g5g
ニンジン3g3g
サンショウ2g2g
コウイ10g20g

効能効果

ツムラ
腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの
コタロー:
腹壁胃腸弛緩し、腹中に冷感を覚え、嘔吐、腹部膨満感があり、腸の蠕動亢進と共に、腹痛の甚だしいもの。
胃下垂、胃アトニー、弛緩性下痢、弛緩性便秘、慢性腹膜炎、腹痛

効能解説:
「腹痛」「イレウス予防」「便秘改善」
温める作用が強く血流改善することで胃腸の働きを活発にします。
比較的体力がない方(老人、病後)にも安心して使用できます。
おなかが冷えて痛んだり、腹部膨満感や術後の腸閉塞予防などに使われます。
蠕動運動が上手く出来ていない症状に効果的です。

服用方法

1日量(ツムラ:6包、コタロー:9包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

間質性肺炎
肝機能障害,黄疸

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは大建中湯の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.腸の動きはどうですか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・蠕動運動問題なし

    大建中湯が合っていない可能性があります。
    痛みを和らげる漢方薬、便通をよくする漢方薬など、今一度症状の根本原因をを検討して代替漢方を提案してみてください。
    例)痛み→芍薬甘草湯等
     便秘→麻子仁丸等

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・蠕動運動不良

    増量できるか検討してみてください。
    別の腸を動かす方法、温める方法の漢方薬を検討してみてください。


    大建中湯の代替・追加 処方案
    • 人参湯
    • 桂枝加芍薬湯
    • 小建中湯
    • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯
    • 芍薬甘草湯

    副作用チェックと薬学的判断

    気になる副作用の発現をチェックしてください。


      副作用についての薬学的判断

      間質性肺炎の発現を検証してください。

      間質性肺炎に対する対応
      ・疑わしい漢方薬の服用中止
      ・重症例ではパルス療法を含めたステロイド剤投与などが行われるので早急にDrへの報告が大事


        副作用についての薬学的判断

        肝機能障害の発現を検証してください。。

        肝機能障害発現に対する対応
        ・疑わしい漢方薬の服用中止
        ・肝機能改善薬の投与
        例)ウルソ、グリチロン、ステロイド等

        コンプライアンスチェックと薬学的判断

          コンプライアンスについてチェックを入れてください。

          Q.コンプライアンスはどうですか?


          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス良好
          ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

          患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

          Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス不良
          ・服用量が多すぎる

          他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
          漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス不良
          ・剤型が問題

          顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

          コンプライアンスについての薬学的判断

          ・コンプライアンス不良
          ・味に問題

          味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
          例)味噌汁等に混ぜる
          味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。