監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

防已黄耆湯の基本情報

構成生薬

ツムラ、マツウラ、JPS
ボウイ5g5g
オウギ5g5g
ジュツソウジュツ3gビャクジュツ3g
ショウキョウ1g0.8~1g
タイソウ3g3g
カンゾウ1.5g1.5g

効能効果

ツムラ:

色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛するものの次の諸症:
腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順

クラシエ・オースギ・ジュンコウ・テイコク・マツウラ・太虎堂・本草・JPS

色白で疲れやすく、汗のかきやすい傾向のある次の諸症:
肥満症 (筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)、関節痛、むくみ

コタロー:

水ぶとりで皮膚の色が白く、疲れやすくて、汗をかきやすいか、または浮腫があるもの:
関節炎、関節リウマチ、肥満症、多汗症。

効能解説:
水を回す力が弱い、または水分代謝が悪いために体に水が溜まってしまった状態を改善します。特に下肢のむくみや疲れ、痛みを改善します。水がたまって腫れるような関節の痛みなどに有効です。
その他、色白で筋肉にしまりがない水太り肥満症の改善や多汗症に用いられます。証の判断として汗かきであるというのは大きな目安です。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

甘草含有:偽アルドステロン症、ミオパチー,横紋筋融解症
間質性肺炎
肝機能障害,黄疸

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは防已黄耆湯の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.むくみなど水の動きの悪さはありますか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・水の問題なし

    防已黄耆湯が合っていない可能性があります。
    今一度症状の根本原因をを検討して代替漢方を提案してみてください。
    例)熱の問題、気の問題等

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・水の問題あり

    増量できるか検討してみてください。
    別の水をさばく漢方薬を検討してみてください。


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 越婢加朮湯
    • 桂枝加朮附湯
    • 防風通聖散
    • 五苓散
    • 苓姜朮甘湯

    副作用チェックと薬学的判断


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症の発現を検証してください。

      偽アルドステロン症に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症にともなうミオパチーの発現を検証してください。

      ミオパチー発現に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


        副作用についての薬学的判断

        間質性肺炎の発現を検証してください。

        間質性肺炎に対する対応
        ・疑わしい漢方薬の服用中止
        ・重症例ではパルス療法を含めたステロイド剤投与などが行われるので早急にDrへの報告が大事


          副作用についての薬学的判断

          肝機能障害の発現を検証してください。。

          肝機能障害発現に対する対応
          ・疑わしい漢方薬の服用中止
          ・肝機能改善薬の投与
          例)ウルソ、グリチロン、ステロイド等

          コンプライアンスチェックと薬学的判断

            コンプライアンスについてチェックを入れてください。

            Q.コンプライアンスはどうですか?


            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス良好
            ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

            患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

            Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス不良
            ・服用量が多すぎる

            他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
            漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス不良
            ・剤型が問題

            顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

            コンプライアンスについての薬学的判断

            ・コンプライアンス不良
            ・味に問題

            味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
            例)味噌汁等に混ぜる
            味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。