監修:土子 志(薬剤師)
プロフィール

苓桂朮甘湯の基本情報

構成生薬

ツムラ・JPSクラシエ他東洋
ブクリョウ6g6g6g
ジュツソウジュツ3gビャクジュツ3g ビャクジュツ3g
ケイヒ4g4gケイシ4g
カンゾウ2g2g2g

効能効果

ツムラ、他:
めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少するものの次の諸症
神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛

コタロー:
立ちくらみやめまい、あるいは動悸がひどく、のぼせて頭痛がし、顔面やや紅潮したり、あるいは貧血し、排尿回数多く、尿量減少して口唇部がかわくもの。
神経性心悸亢進、神経症、充血、耳鳴、不眠症、血圧異常、心臓衰弱、腎臓病

効能解説:
体に余分に溜まっている水をお小水を出すことで改善します。
水が溜まることで起こる、めまい、ふらつき、立ちくらみ、のぼせなどを改善します。
茯苓を主薬とする処方ですので、繊細な方で動悸、息切れがする方などにも効果的です。

服用方法

1日量(3包)を2~3回に分割服用

注意する副作用

甘草含有:偽アルドステロン症、ミオパチー,横紋筋融解症

薬学的チェックポイント

  • 効果の判定
  • 副作用発現
  • コンプライアンス

効果チェックと薬学的判断

    効果について当てはまるもの1つにチェックを入れてください。

    Q.効果は出ていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果あり
    ・用量調節の必要性を検討

    効果は出てますので、今後の用量調節の必要性の有無を検討してください。
    例)服用回数、服用量の減量が可能か?

    証について判断してみてください。

    Q.証は合っていると判断しますか?


    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証の違い

    まずは苓桂朮甘湯の中止の提案を検討してください。
    Drより代替案を求められたら証に合った薬剤の提案を行ってください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は合っている

    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加してみる漢方薬はないか検討してみてください。


    Q.小便の量はどうですか?

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・小便の量は多い

    苓桂朮甘湯の適応であるとも考えられます。
    用量・用法のチェックを行ってみてください。
    例)用量は適当か、増量可能か、服用時点に問題ないか等
    追加または変更できる漢方薬はないか検討してみてください。
    また、冷えの確認、胃の中に水が溜まっているかを確認してみてください。

    効果についての薬学的判断

    ・効果なし
    ・証は判断付かず
    ・小便の量が少ない

    証が合っていない可能性があります。
    気・血・水の証を取り直して漢方薬を再検討してみてください。


    抑肝散の代替・追加 処方案
    • 五苓散 
    • 真武湯
    • 苓姜朮甘湯
    • 半夏白朮天麻湯
    • 当帰芍薬散
    • 炙甘草湯

    副作用チェックと薬学的判断


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症の発現を検証してください。

      偽アルドステロン症に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整


      副作用についての薬学的判断

      偽アルドステロン症にともなうミオパチーの発現を検証してください。

      ミオパチー発現に対する対応
      ・甘草を含む該当する漢方薬の服用中止
      ・カリウム補整

      コンプライアンスチェックと薬学的判断

        コンプライアンスについてチェックを入れてください。

        Q.コンプライアンスはどうですか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス良好
        ・剤型等など改善の必要性の有無を検討してください。

        患者さん、介護者にとって服用が負担になっていないか、飲みやすさに改善の余地がないなどを検討してみてください。

        Q.コンプライアンス不良の原因をどのように判断しますか?


        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・服用量が多すぎる

        他の薬剤も含めて1回の服用量を検証してください。
        漢方薬自体の量が多くて飲めない場合はお湯に溶かすことで飲む量を減らしてみる提案を検討してください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・剤型が問題

        顆粒剤が服用困難と判断した場合はお湯に溶かす、服用補助剤使用などの提案を検討してみてください。

        コンプライアンスについての薬学的判断

        ・コンプライアンス不良
        ・味に問題

        味をマスキングする方法の提案を検討してみてください。
        例)味噌汁等に混ぜる
        味をあまりに嫌う場合は証が合っていない場合もあります。一度、証の検討を行ってみてください。