執筆者:薬剤師 土子 志
プロフィール

漢方薬局って入りにくい?
と思っていませんか。
今回は漢方専門である漢玄堂薬局を通して、漢方薬局をご紹介します。

漢方薬局は街中の調剤薬局と同じです。

漢方薬局というとなんか特別な薬局と思われがちですが、
じつは皆さんがよく目にする「調剤薬局」と同じなのです。

写真引用:福岡の老舗 大賀薬局さん

一般的にいう「薬局」には大きく分けて3つの分類があります。
「薬局」「店舗販売業」「配置販売業」

薬局ってどんなところ? 東京都福祉保健局HP

この中で漢方薬を調剤するのは「薬局」になります。

調剤とは、「医師、歯科医師の発行する処方せんに従って1種類以上の薬品を配合し若しくは1種類の薬品を使用し特定の分量に従い特定の用法に適合するように特定の人の特定の病気疾病に対する薬剤を調製すること」です。

東京都福祉保健局HPより

薬局の大きな特徴は「調剤室」があることです。
調剤室があることで、処方せんの薬を調剤したり、一人一人に合わせたオーダーメイドの漢方薬を作ったりすることができます。

設備

調剤薬局には「調剤室」と「待合・お薬お渡しスペース」があります。
漢方薬局にも「調剤室」と「相談スペース」があります。

●調剤室

調剤室は6.6 ㎡以上と決められています。
また明るさや設備なども細かく決められていて保健所の審査を通らなければ許可がおりません。
また、調剤室には一般の人が入れないような構造にしなくてはいけません。

調剤室に必ずあるもの

調剤台です
漢方薬を計ったり、混ぜたりします。
また、漢方薬を粉にしたり丸剤を作ったりもします。
秤(はかり)です
電子はかりもありますが、漢方薬を調合するにはこの上皿天秤が使いやすいです。レトロに見えますが現役バリバリです。

必要に応じて

分包機
粉の漢方薬を1回分ずつ分包します。
今や全自動で分包する時代ですが、こちらは手動でセットしていきます。全自動より早くて便利です。
粉の漢方薬
煎じ薬が飲めない方でも安心・簡単に飲める粉薬の漢方薬をご用意します。
病院にはない漢方薬局ならではの漢方薬がそろっています。

漢玄堂薬局では、1回に飲む量が少ない場合や数日分の時は薬方紙で包んでお出ししています。

若い方では薬包紙で包まれたお薬を見たことがなく、「どうやって飲むの?」と聞かれることもあります。
薬包紙は分包紙よりも飲むときに飲みやすくなっています。また、残った場合はまた包み直して保存しておけます。

漢方薬局ならではの”タンス”

漢方薬局と聞いてイメージされるもの”3つ”

時代劇によく出てくる”薬研”ですが、これは漢方薬をすりつぶすものです。
現代においては電動の粉砕機があるので使われることはありません。
次によくイメージされるのが朝鮮人参やマムシなどがアルコール漬けされた瓶です。
この写真は長野県 上田市のふるさと納税の返礼品に上がっていました。これらは漢方薬屋さんでは売られているよりディスプレイとして飾られているほうが多いです。
3つめのタンスは漢方薬局ならではのものです。
漢玄堂薬局では2つあり、実際に活用しています。

●相談スペース

ゆっくり相談できるスペースとなっています。

漢玄堂薬局はお店が2階にあります。
ご予約のお客さん以外で飛び込みで来られる方はほとんどいらっしゃいませんので、ゆっくり落ち着いて相談していただけます。
1回の相談時間は1時間くらいを予定しています。
お一人でも、ご家族でも、お友達同士でも構いません。

漢方薬局は一見入りにくそうに感じますが、入ってしまえばそこは自分だけのプライベート相談空間です。家にいる感じで落ち着いて相談できます。

ゆっくり、落ち着いて相談したいと思われている方はぜひ漢方薬局を訪れてみてください。