冷え性で頭痛に悩まれている方は多いのではないでしょうか。
とりあえず、鎮痛薬を飲むとその場はしのげるので、ついつい頼ってしまいがちです。
しかし、鎮痛剤は胃にも負担をかけますし、頭痛を起こしている原因を放っておくことになります。
頭痛でも根本の解決が大切です。

症例 頭痛

28歳 主婦 二人の子供

半年くらい前から「前額部の頭痛」に苦しんでいました。
色々と治療をしてみましたがあまり効果がありませんでした。
しかし、ノーシンを服用すれば一時的に頭痛から救われるとのことで、頻繁にノーシンを服用していました。
ノーシンの服用はやや中毒と思われるくらいでした。

【詳しい症状 】
頭痛が起こると、同時に吐き気もある
手足が冷えるほう
生理は問題なし

治療

頭痛の原因は冷えであると考え

呉茱萸湯(煎じ薬)を1週間分投与

⇒結果は、いくらかよいとのこと。

そこで手足の厥冷(冷え)を考えて、

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(煎じ薬)を1週間分投与

⇒結果、体が温かくなってくると頭痛も吐き気も忘れたようになり非常に体調も整ってよいと喜ばれました。

後、7日分を服用して終了となりました。

治験例集/相川隆三郎著 川崎 戸手本町の先生 より
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先生の考察
最初は呉茱萸湯で押すつもりでしたが、効き目がわずかであったので再考しました。
産後に冷えを受けた経過があったので小柴胡湯を考えましたが、冷えることが甚だしかったので当帰四逆加呉茱萸生姜湯を用いました。

今回の漢方の解説

今回は、温める漢方薬の代表とも言われる
「呉茱萸湯」
「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」
です。

呉茱萸湯

温める力が強い漢方薬です。
冷えが原因で起こる症状に効果を発揮します。

「冷え」が原因で起こる症状

手足の冷え、頭痛、胃痛、下痢、食欲不振、生理痛、生理不順、メニエル症候群、腰痛、肩こり、不眠 などなど

呉茱萸湯の特徴は「胃からくる冷え」に効果を発揮します。
胃からくる冷えとは、
胃が冷えているためにエネルギーが作れず冷えてしまう状態です。

呉茱萸湯が効く頭痛

呉茱萸湯の頭痛は「アイスクリーム頭痛」の痛みに似ています。
冷たいものを急いで食べた時に頭にキーンと来るあの痛みです。
アイスクリーム頭痛はまさに冷えから来る痛みです。

その他、呉茱萸湯の頭痛は吐き気を伴うことがしばしばあります。
体の芯まで冷えて気持ち悪くなった経験はありませんか?
冷えは吐き気を誘発します。

呉茱萸湯が効く頭痛の目標は

  • 冷えがある
  • アイスクリーム頭痛のような痛み
  • 頭痛時に気持ち悪くなる
呉茱萸湯が効かない頭痛

呉茱萸湯が効かない頭痛は、熱が原因の頭痛です。

例えば、高血圧などによる頭痛は熱の頭痛です。
その時に呉茱萸湯を飲むとさらに体を温めてしまい頭痛を悪化させてしまうことになります。

また、冷えではなく水や血、気が原因で頭痛が起こっている場合も効果がいまいちと感じます。

呉茱萸湯の味

主役(主薬)は呉茱萸というものですが、
これがじつに独特と言いますか、強烈と言いますか、
臭いが強く辛味をもつ漢方薬です。

漢方薬はその人の症状に合えばどんなに苦くても辛くても飲めると言われています。実際、冷えが強い人が呉茱萸湯を飲んでも全く問題なく飲めます。
反対に呉茱萸湯の味が合わなくて飲めない場合は「呉茱萸湯の冷え」ではないと考えられます。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯

温めて、血行をよくする漢方薬です。
血行が悪くて起こる症状に効果を発揮します。

血行が悪くて起こる症状

手足の冷え・しびれ、肩こり、頭痛、坐骨神経痛、腰痛、生理痛、子宮筋腫、便秘、へバーデン結節 などなど

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は血流、とくに毛細血管の血流を改善します。
心臓から遠い、手足などの血流の改善に効果があり、しもやけの特効薬です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効く頭痛

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効く頭痛は、血流が悪く冷えて起こる頭痛です。
症状としては、
つまったような、引っ張られるような痛みの頭痛です。
また、血流の悪さと冷えが原因ですので、お風呂に入ると痛みが緩和します。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効く頭痛の目標は

  • つまったような痛み
  • お風呂に入ると痛みが和らぐ
  • 手足が冷たい
当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効かない頭痛

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効かない頭痛は血がドロドロしている人の頭痛やむくみがひどい人の頭痛です。

血がドロドロしている場合は血管の流れを良くしてもサラサラと流れてくれません。
また、むくみがひどい場合も血流改善の効果が十分に発揮させません。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の味

呉茱萸湯と同じで呉茱萸が入りますので独特の味がします。
しかし、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は他の漢方薬、例えば大棗(ナツメ)が多めに入っていますので呉茱萸の味が緩和され飲みやすくなっています。

今回の方のポイント

今回の28歳の方は冷えが原因の頭痛でした。
そして、ポイントとなったのは「手足の冷え」です。

冷えにもいくつかのパターンがあります。
今回の方の冷えは、
体の中心の冷えではなく、周りを巡っている血行不良からくる冷えでした。

呉茱萸湯と当帰四逆加呉茱萸生姜湯はよく似た働きをする漢方薬です。
冷えの頭痛にはどちらも効きそうなのですが、
やはり一人一人の頭痛の原因にぴったり合わないと物足りない効果になってしまいます。

【参考】血の詰まりが原因の頭痛の症例
頭痛でノーシンが手放せない